楠氏硏究

목차 (Table of Contents)

• 目次
• 第一編 事實編
• 第一章 楠氏系圖論(楠氏家系恐らくは, 讚岐橘氏に關係あらん) = 1
• 楠氏家系は全然不明なり
• 橘系圖の二種系
• 第一種系は「尊卑分脈」を, 第二種系は嘉平本楠氏系圖を中心とす
• 第一種系橘第十二代は好古, 第二種系橘十二代は遠保
• 第一種系は, 好古より正成まで八代, 第二種系は十五代
• 第一種系の楠正遠(正成の父)は保元·平治頃の人たらざるべからず
• 特殊系
• 特殊系は, 如上二種系の欠陷あるを暗示す
• 楠系中の人たるべき楠木四郞と, 楠木正家
• 治承中橘公長·長子橘太·次子橘次を率ゐて賴朝に歸す
• 元曆中橘三·橘五の兩士, 備前兒島戰に參加す
• 楠木四郞は其四弟の橘四なるか
• 承久亂に關東勇士にならの橘四郞なる人あり
• 鎌倉の初に讚宇多津に橘姓奈良氏あり
• ならの橘四郞は讚の出にして, 河內の橘四郞ならん
• 楢材姓と楠木氏
• 彼は本名公高にして, 兄に公成あり
• 讚·河兩橘氏の傍證
• 公成曾て讚の目代たり, 後出羽に住し出羽橘の祖となり, 子孫別れて肥前に住し, 澁江氏となる
• 讚橘氏は同國宇多津方面に繁榮せり
• 獨り河內橘氏, 鎌倉時代の事蹟不明なり
• 延元の常陸の楠木氏に就いての想定說と明應の熊野楠木氏の傳說
• 第二章 元弘以前に於ける大楠氏の地位(河·泉·紀に於ける潛勢力と高野山援護) = 29
• 元弘以前の大楠氏は, 一兵衛として河內國赤坂附近の土豪なり
• 和泉國若松庄に於ける大楠氏の活動
• 高野山寺領の地頭職と楠家との關係
• 元弘以前二十年, 橘正久なる人, 高野山大塔領名手莊に相傳の私領を有す
• 賴朝時代に紀伊國目代に左衛門尉橘某あり. 北紀の橘氏は其一族ならん
• 名手莊莊官に, 貴志氏あり
• 貴志氏と北紀の橘氏との關係
• 貴志氏は大楠氏の下に勤王す
• 河內橘氏と名手橘氏との關係
• 大楠氏は嘉元以來高野寺領の庄官なるべし
• 大楠氏は敎權幷に血緣を利用して, 其地位を向上す
• 大楠氏は安田庄司を討伐して三千貫の地を得, 合計七千貫の地を領すと
• 高野寺家と湯淺氏との悶著事實の詳細考察
• 文氷以來兩者の爭議甚激す
• 湯淺氏は同時に寂樂寺と爭ひて橫暴す
• 嘉歷に至りて湯淺氏屛息の狀あり. これ元亨·正中頃, 武力的制裁を受けし結果ならん
• 制裁者は幕名を得たる大楠氏ならん
• 高野山寺家は, 大に大楠氏の授護を受く
• 元弘以來高野寺家は, 大楠氏を庇護す
• 大楠氏の元弘以前に於ける隸屬問題
• 大綱の順逆を辨へたる純忠
• 第三章 大楠氏の秘める出動(正中討幕の擧) = 48
• 元寇は北條氏滅亡の一因
• 蒙古難と北條氏. 洋夷難と德川氏
• 北條氏實力の展開と否幕府者の覺醒
• 後醍호天皇この覺醒の聲を聽き附け給ふ
• 宋學忠孝の新說者俊基·大楠氏等見はる
• 大楠氏が正中の擧に, 秘める一步の出動を初めたる考察二
• 俊基の南遊事蹟
• 河內志士綿織氏·石川氏と大楠氏との關係
• 第四章 大楠氏公然の出動(笠置行宮の拒守と赤坂城の防戰) = 54
• 元弘元年八月卄四日一大變報宮中に到る
• 天皇奈良に潛幸, 尋いで笠置に遷座
• 南山の義民先づ行宮を衛る
• 九月三日大楠氏行宮に到る
• 足助氏等錦旗の下に集る
• 義僧寂禪律師, 南山義民に義を說く
• 九月六·七日より笠置攻守戰始まる
• 櫻山氏兵を備後に起す. 同卄八日行宮陷る. 賊兵, 天皇を山城相樂郡高麗村附近の山地に虜へ奉る
• 九月十四日以來近畿の賊兵, 赤坂に攻め到る
• 上下赤坂城の位置
• 大楠氏の戰用水に就いての僞文書
• 賊の赤坂攻擊四個軍, 十月十七·八日より攻擊す
• 卄一日赤坂陷落, 護良親王·大楠氏等奔竄
• 義經·大楠氏潛匿狀況對比.
• 〔附錄一〕 櫻山慈俊 = 75
• 櫻山氏の擧兵と敗死
• 櫻山氏は備後の名族宮氏一門にして, 同國甲奴郡佐倉村地頭なり
• その占據地は, 同國一ノ宮後方鳶尾城なり
• 一族宮左近將監全尙, 慈俊の志を繼ぎ, 同所に據りて義旗を飜す
• 古傳說に櫻山氏は大楠氏と師資の關係ありと
• 淺見絅齋は鬼一法眼の虎卷兵法は義經に傳はり, 轉じて櫻山氏の手に入り, 更に大楠氏に傳授せりと
• 地方の俗傳には, 櫻山氏擧兵時, 大楠氏に遣はしし牒使の姓名をも傳へ, 或は櫻山氏は當時河內赤坂にありて, 大楠氏と俱に笠置行宮の召に應じ, 討幕の大命を承はると
• 第五章 葬むられたる大楠氏の生ける秘密(奔竄中の昇任) = 82
• 赤坂落城後, 大楠氏の潛匿事情一切不明なり
• 「太平記古傳·評」等の想像說と, その批判
• 元弘二年末に至るまで, 熊野·高野も公然親王に應ぜず
• 大楠氏再擧の難境
• 親王·大楠氏は, 討幕的連絡を後醍호天皇に通ず
• 當時大楠氏は左衛門少尉と自署し, 北條幕府は兵衛尉と公書せり
• 大楠氏は潛匿中に, 密に左衛門尉に補任せらる
• これ天皇·親王·大楠氏間に, 秘密連絡ありし一傍證
• 天皇六波羅幽居中, 叡山の僧良忠の討幕的秘密運動
• 秘密運動の中心は親王にして, 背後に大楠氏立てり
• 天皇六波羅幽居中の逃脫一件は, 外部の討幕的潛勢力に合し給はん密計
• 兩者間の秘事互に相通ず
• その庇護媒介者は果して何人
• 吉田定房
• 第六章 大楠氏の再擧(下赤坂城の回復と天王寺の捷戰) = 91
• 元弘二年秋冬, 爆發性大楠氏の大塊, 高く金剛山頭に懸垂せらる
• 六月護良親王は熊野にあり, 己に北條大破壞の爆裂第一彈を, 紀·勢の地に投ず
• 義士竹原八郞, 幕府爆發の最初の作業に從ふ
• 熊野は大楠氏の緣故の地, 此處に親王を奉じて策源す
• 十一月大楠氏再擧の輪廓, 稍稍明現す
• 十二月九日は實に關東が親王幷に大楠氏討伐聲言の日たり. 而してまた親王幷に大楠氏の近接關係を證明するの日なり. 義兵山崎に進めるの日なり
• 湯淺入道定佛は, 九日以前に旣に大楠氏の軍門に降る
• 大楠氏紀伊隅田一黨に一大痛擊を與ふ
• 十二月末, 大楠氏賊兵と河內叡福寺方面に交戰す
• 十二月末親王幷に大楠氏互に軍を別つ
• 吉野·東條の山地は, 討幕の二要地となる
• 本據地·鎖약地の占據始めて成る
• 當年作戰の大成功
• 元弘三年正月五日安滿見の邀擊
• 紀伊の賊勢屈す
• 河·泉の賊徒, 形勢觀望
• 賊徒天王等に영守す
• 本波羅兵を下してこれを援く
• 楠軍また精騎を發して天王寺に向ふ
• 正月十四兩軍勇戰, 十四時間に亘り, 賊兵潰走し, 楠軍渡邊に追擊し, 殺傷過當
• 楠軍天王寺に退き, 本據東條山地に歸陣す
• 大楠氏の山地持久の防禦的作戰
• 卄三日賊の驍將宇都宮公綱, 天王寺ヘ馳せ下る
• 第七章 大楠氏半面の山地戰(吉野·和歌山·金剛山の連結と上赤坂戰) = 108
• 大楠氏の爆發性は河·紀·和三州の天然保護の下に隱匿し, 元弘三年春に露出す
• 大楠氏の雄圖は, 獨り千劒破要塞戰に止まらず, 河·和·紀三州に於ける一大野戰の作戰計劃に有りき
• 河·紀·和三州險要地
• 吉野は其主地
• 三畝山脈·葛城山脈·和泉山脈の樞軸たる金剛山
• 吉野に對して鎖약地たる千劒破, 兵站基地たる和歌山
• 局部的防禦戰略と山地的一大野戰計劃
• 大和萊山等は, 吉野本營の前進陣地たり, 猶河內諸丘陵の, 千劒破のそれの如し
• 關東, 三大軍を發して, 吉野·千劒破幷に和歌山方面に進擊す
• 賊軍, 重賞を懸けて親王장に大楠氏の首を募る
• 義軍堂堂正義によりてこれを逆ふ
• 紀·和の志士高間·木本等, 二階堂の賊兵と吉野本營の前進陣地, 萊山以下に奮戰す
• 湯淺氏は名越の賊兵と紀伊に攻守す
• 楠軍は阿蘇の賊兵と河·攝の間に衝突す
• 金剛山·千劒破城·上赤坂城
• 千劒破城に對する防備的內廓とその外廓
• 賊兵を山地戰圈に誘ふ
• 上赤坂合戰
• 賊兵の苦鬪と官軍の勇戰
• 閏二月上赤坂幷に吉野本營陷る
• 大楠氏逐に千劒破の要塞戰に轉じて, 勤王第一步の人となる
• 第八章 大楠氏全幅の要塞戰(千劒破戰幷に地方勤王諸豪の風動) = 124
• 大楠氏に北條氏爆發の大炸彈を, 金剛山より六波羅に敷設して, その導火線を操れり
• 千餘の小勢を以て, 三道幷進幾萬の賊を, 一孤城千劒破に拒ぐ
• 正義は百萬の兵よりも手堅し
• 千劒破の大手正面鈴が瀧
• 千早川の奧に象頭形の千劒破山
• 元弘三年二月卄三日, 賊軍の一部, 大和路より背面襲擊し, 大敗す
• 吉野陷落
• 凶徒爆發の導火線は, 後方の山河より遠近に布かる
• 閏二月十一日, 大楠氏書を伊豫忽那氏に與へて勤王を激勵す
• 三月五日大楠氏大に賊を敗りて諸道風靡す
• 同卄二日金剛山未破とは兇徒の歎擊なり
• 千種氏船上山行宮より東征す
• 四月三日·八日近畿合同の官軍, 京を攻めて克たず
• 護良親王の近畿官軍を統率せる狀況
• これより賊の千劒破攻擊甚激
• 三月末楠軍の一派, 熊野方面に活動す
• 四月十四日千劒破に一大攻守戰あり, 千劒破救援の聲, 四方に起つ
• 四月卄日賊抗道戰を始む
• 王覇成敗の機は, 千劒破山腹大手櫓樓の地下一點に縮まる
• 四月卄七日賊師名越高家, 京南に敗死
• 幕軍は京·千劒破に, 七顚八倒の苦を受く
• 五月七日天彈遂に京賊を爆發す
• 同九日千劒破の賊軍解體, 賊帥辛うじて奈良に逃る
• 五月八日新田氏, 炸彈の導火線を手にし, 卄二日鎌倉を爆發せり
• 第九章 中興當初の闇黑に輝きし大楠氏(兵權回收せられず, 行賞公平ならず, 選敍當を失せる政界中の明星) = 157
• 天皇還幸の途に就かせ給ひ, 大楠氏車駕を西宮に迎ふ
• 改革的聖斷
• 政府者の無能
• 明治と建武との中興對比
• 兵權の放任, 土地與奮權の不統一
• 宣旨案堵狀と武家授與狀
• 征夷將軍と鎭東將軍
• 偉勳拔擢の缺如
• 大楠氏は河·攝·泉國守從五位下檢非違使左衛門に過ぎず
• 建武·明治兩中興の偉材拔擢の比較と其成敗
• 護良親王·尊氏の不和
• 十二月大楠氏, 在京雜訴決斷所·記錄所員となる
• 武家黨の拮抗
• 大楠氏行幸に扈從し, 尊氏に對して儼乎たり
• 藤房隱遁
• 大楠氏奉勅, 飯盛山賊徒南征
• 護良親王拘禁
• 第十章 近幾京洛の安定に任ぜし大楠氏(飯盛賊の討平·隱謀の廓淸·王城の擁護) = 174
• 高野衆徒, 南征の大楠氏を援く
• 楠黨和田氏勇戰し, 同木本完元奮戰賊魁を斃し, 反亂鎭定
• 護良親王, 鎌倉に流され給ふ
• 西園寺公宗の陰謀發覺, 大楠氏·高師直等, 活動機宜を制す
• 大楠氏武家黨と對峙す
• 興福寺, 大楠氏を難じ, 오訴す
• 中先代の亂
• 直義, 護良親王を弑して西走す
• 尊氏京營を拔いて東下す
• 此時大楠氏在國
• 尊氏府を鎌倉に開き, 論功をなす
• 直義檄を諸國に傳へて新田氏を討たんとし, 尊氏も新田氏討伐を奏請す
• 朝廷, 新田氏·洞院氏をして, 東征せしむ
• 大楠氏兵を집めて王城を擁護す
• 官賊矢신川會戰
• 箱根竹下の會戰
• 第十一章 賊魁大侵の한禦に與りし大楠氏(宇治の拒守と京賊の驅逐) = 183
• 大楠氏宇治の險を守り, 千種氏勢田を拒ぎ, 義貞は大渡, 義助は山崎に向ふ
• 尊氏は大楠氏に當るに擬し, その先鋒, 楠軍と接仗す
• 楠軍宇治橋上, 五晝夜の健鬪
• 尊氏守治を避け, 八幡に向ひ, 更に淀に義貞と戰ふ
• 義貞京に却く
• 天皇東坂本に辛し, 尋で大楠氏, 行宮に到る. 園城寺回復戰
• 義貞, 賊を逐うて京に入る
• 大楠氏別軍を提げて西坂本より義頁と策應す. 名和氏之に從ふ
• 京都市街戰
• 三條河原戰最劇烈
• 大楠氏神樂山に出動し, 大手隊として活動
• 洞院氏は楠軍に西坂本に加はる
• 官賊大に京中に戰ひ, 賊兵敗れ七條に退く
• 大楠氏等が닉手軍, 最も功あり
• 大楠氏懸金楯を發明す
• 義貞は大手軍として鞍馬口に向ひ, 急に轉じて楠軍に合す
• 尊氏京を退き, 寺戶に走る
• 大市街戰
• 大楠氏닉手軍たり, 尊氏を丹波に驅逐す
• 尊氏兵庫に逃る
• 大楠氏神呪甲山迂回の奇襲により, 賊魁敗走, 海に航して鎭西仁逃る
• 卄九日菊地武敏, 小貳貞經を攻殺し, 尊氏を多多良濱に迎擊して克たず, 尊氏大擧東侵の途に上る
• 第十二章 最善に潔く殉ぜし大楠氏(湊川の大拒戰) = 202
• 官軍湊川に於ける占據の地位幷に時間關係
• 新田氏, 赤松と播磨に戰ふ
• 義助進んで備前三石を圍み, その先鋒, 備中福山を占領す
• 尊氏備後병津に抵り, 自ら船隊を率ゐ, 直義は陸兵に將として發す
• 福山の官軍敗れ, 三石の義助また圍を解いて, 義貞に播磨に合す
• 義貞兵庫に退く
• 大楠氏奉勅劇に西下, 義貞に合す
• 楠車は夢野の會下山に陣す, その頓田山は實に大楠氏の本營たり
• 新田軍は和田山高地に陣す
• 五月卄五日黎明尊氏船隊を率ゐ, 兵庫沖に向ふ. 直義の陸兵三部隊齊しく發す
• 一は古道越を歷て夢野に出で會下山楠軍の右側面を突かんとし, 直義は須磨より一直線に會下山に向ひ, 一は海岸路より船隊と呼應しつつ新田軍の左側面を擊たんとす
• 大活劇は新田軍に機動し, 楠軍に風發せり
• 和田山原頭に於ける新田·足利の兵機轉接の狀況
• 新田軍の退却
• 官軍兩將の連絡議熟せず
• 大楠氏軍, 孤立而も攻擊的態度を以て狂瀾を旣倒に返すの槪あり
• 會下山左翼隊の貴志氏, 驍勇能く戰ひ, 右翼隊に正季あり, 古道越を拒ぎて, 後顧の患を絶つ
• 大楠氏突喊奮戰, 殆んど直義を獲んとす
• 大楠氏兵を轉じて尊氏の上陸軍に殺到
• 午後四時大楠氏等遂に最善に殉じたり
• 七生滅賊の念と, その快げなる氣色
• 賢才武略の勇士
• 義貞殿して京に退く
• 〔附錄二〕 安藝石井氏の勤王事蹟 = 221
• 伯耆船上山行宮より, 從軍綸旨を石井(三宅氏)末忠に賜はる
• 末忠軍忠狀を呈して, 上將の一見を求む
• 未忠は千種氏に屬して, 京洛北條討伐に向ふ
• 備前の兒島(三宅氏)高德も千種氏に從つて攻め上る
• 石井末忠, 大楠氏に屬して遂に湊川に忠死す
• 石井信高, 新田氏に屬して赤松城に奮戰し, 安藝國竹仁村地頭職に補せらる
• 常陸親王令旨を信高に下し, 安藝國河戶村を知行せしめらる
• 足利季世に石井就世あり, 毛利元就に仕へて功あり, 裔孫今に存す
• 第十三章 大楠氏の性格とその修養(犧牲の精神と恭謙の美德, 眞言·禪·の尸祝と宋學の硏究) = 225
• 讚美的史傳界に現はれたる大楠氏の人格
• 事實的史證上の大楠氏人格
• 大楠氏自筆の法華經裏書
• 一意國家の安泰を立願す
• 武家の立願は, 家門の隆昌を祈るを例とす
• 大楠氏犧牲的精神
• 尊氏直義等が願文の劣情
• 新田義貞の寄附文
• 寄進文に現はれたる楠黨幷に賊將の志操の美醜
• 寄進文中に現はれたる菊池武時
• 官紀振肅
• 護憲遵法
• 軍忠狀承認文中に現はれたる大楠氏恭謙讓の美德
• 「庭訓往來」中の橘左衛門尉某
• 玄惠は大楠氏の性格をその文例に用ひ來りて淸廉·忠實·勵精にして威力あるの士と爲す
• 「塵塚物語」は大楠氏の性行を傳へて, 耐忍持久幷に努力の連續を敎ふ
• 大楠氏の修養
• 大楠氏と眞言宗·禪宗
• 瀧覺坊·玄惠
• 鎌倉武家幷に朝廷の奉禪
• 玄惠の改宗
• 玄惠と大楠氏との親接關係
• 書道上, 兩者師檀の關係
• 大覺寺皇統派と持明院皇統派との書道にはその歌道と等しく甄別あり
• 玄惠始めて資治通鑑を有志に講ず
• 親房は門中の自眉たり. 大楠氏もまた從學す
• 禪道の鼓吹
• 大楠氏禪宗修養の一想定
• 玄惠宋學に通達せり
• 大楠氏の宋學者たりし推定
• 論語, 楠河州本の事
• 大楠氏の忠孝と, 程朱學
• 「南朝硏究」の「楠木正成」
• 第十四章 大楠氏遺策の實現(京賊夾擊の擧) = 250
• 東條城は近畿義軍の策源地となる
• 天皇難を山門に避く
• 官賊山門の攻守. 尊氏逡巡進まずして山崎·八幡に稽留す
• 攝河の大楠氏系の義勇軍
• 直義, 三道より行在に攻め上る
• 千種忠顯, 雲母坂に戰死す
• 尊氏, 入京聲援す
• 後方の官賊, 京南の造路·竹田·烏羽方面に戰ふ
• 京賊夾擊の體成る
• 四條隆邦, 京南官軍の上將たり
• 京南官軍と楠黨との關係
• 賊將高師重, 山門戰に獲殺せられ, 直義京に退く
• 京南の四條軍は, 轉じて宇治より北上し, 楠黨は竹田方面に戰ふ
• 延元元年六月京賊大夾擊
• 楠軍の主將和田左衛門, 竹田河原に戰死し, 山門の官軍も敗績し, 名和長年國に殉ず
• 京南官軍は宇治八幡幷に東條城と連絡して, 淀河河盂を脅す
• 楠黨は京賊夾擊の楔子なり
• 賊兵宇治方面の官軍と戰ふ
• 八月末, 第二回京賊大夾擊
• 楠黨八幡より北上奮鬪す
• 兩軍の市街戰, 夾擊軍勢稍衰ふ
• 近畿王師の中心は, 漸次東條城に移る
• 四條隆邦等, 八幡を去り, 天王寺に移り, 更に東條城に抵る
• 楠黨, 橋本正茂, 天王寺に據る
• 和田治氏は橘本正茂等と呼應して, 和泉の賊黨を破り, 東條城に入る
• 京賊夾擊竟に成らず
• 尊氏請和の議を上る
• 義貞は越前に, 親房は伊勢に, 隆資は東條に去る. 皆占據の實態. 十二月東條に潛幸あり, 尋で賀名生·吉野の遷幸となる
• 吉野朝廷成立す
• 第十五章 擴大せられたる大楠氏の遺策(吉野と東條) = 267
• 山門と東條とは楕圓の二焦點の如し. 大楠氏は王朝の正圓を描くに努む
• 北전氏の奧州勢の運動は, 抛物線的なり
• 楠黨は順次八幡·天王寺を退き, 東條に全力を集中して, 乃祖の戰略を襲蹈す
• 大塔若宮·四條氏, 天下幾多の義士, 多く東條に集まる
• 入授の大命は, 北전顯家に宣せらる. 北越·鎭西皆入援を期す
• 東條は各地官軍の目標地となる
• 楠黨棟梁の面面
• その占據地の地形
• 大塚惟正等, 屢屢和·泉の賊徒を襲擊す
• 楠黨河內國古市に城き, 後細川直俊を斬る
• 大塚枝隊, 泉南の전尾山に據り, 顯氏と屢屢橫山谷に戰ひ, 宮里城の攻守最も劇烈. 顯家入援の師を靈山に發す
• 宇治惟時·結成親朝にも入援の勅あり
• 夾擊の先驅は楠軍なり
• 高木盛遠等, 賊の八尾城を襲擊し, 丹下城を火く
• 大和の義兵開住西阿
• 直義の大和出兵
• 楠黨丹下·八尾·宮里の賊營を苦め, 遂に平野里に進出す
• 大和駐屯の賊, 東條の背面を衝く
• 高木氏は山城の險に, 安滿氏は天野の奧に, 大塚枝隊は, 전尾山に敵を惱ます
• 顯家鎌倉を覆し西上す
• 延元三年二月, 顯家奈良に敗績し, 東條に投ず
• 奧·楠軍合同す
• 顯家賊を天王寺に破り, 顯氏京都に逃る
• 義貞に勅して入援せしむ. 及ばず
• 直義大兵を攝·河に發す
• 天王寺の官軍上杉憲藤等を斃し, 大に附近に劇戰す
• 官軍東條に退く
• 東條の官軍, 大に起り, 奧軍は和泉より, 楠黨は河內より, 天王寺の賊を突かんとす
• 堺方面に陸海の大會戰あり. 顯家陣頭に立ちて健鬪遂に陣歿す. 此日楠軍中河內に賊兵を牽制す
• 男山城の弔合戰尤甚劇. 義貞戰歿す
• 楠黨の武力は源泉混混, 河·泉の山野に橫溢す
• 北전親房等, 義良親王を奉じて東航す
• 楠黨退き銳を養ふ
• 後醍호天皇崩じ給ふ
• 東條の武力は, 一旦吉野祇候の任に就く
• 第十六章 大楠氏後, 楠家の地方的潛勢力(勤王の群集的民心 - 幕府の軍事的行政の紛擾と楠黨の政事的技倆) = 284
• 大楠氏の扶植せし正義の群集的精神とその結果
• 幕府軍事的行政の紛擾
• 尊氏, 楠家舊領河內國新開莊を東寺に寄附す
• その紛擾
• 尊氏巳むなく, 備後國因島をその替地とす
• 新開莊は楠黨の群集的精神によりて, 取り返されたり
• 和泉國大鳥莊の紛擾と, 地方の反幕的士心との關係
• 楠黨の, 敵地內に儼然たる軍事的行政を行使せし諸實例
• 難波莊に於ける橘某と, 小高瀨庄に於ける小楠氏
• 賊の占據地天王寺內に, 吉野朝廷の優遇を得たる人あり
• 攝·河·泉に於ける官賊兩軍の勢力範圍區
• 紀·勢の官賊
• 南和の正朔
• 官賊の寺社招致
• 松尾寺·金剛寺·觀心寺·粉川寺·高野山·久米田寺
• 金剛寺·觀心寺は始終志を투へず, 高野山は中立, 松尾寺·久米田寺·粉川寺は北嚮せしものの如し
• 東條附近甲斐莊幷に岸和田莊も賊手に歸せしが如し
• 義憤は局面の一轉を要む
• 小楠氏起つ
• 第十七章 小楠氏東西合同の義に起つ(和の戒重·常の關城, 幷に薩の谷山と東條) = 299
• 延元五年の交, 小楠氏は旣に左衛門少尉攝·河の大守たり
• 小楠氏と和の開住との關係
• 京賊夾擊策は一轉, 天下義軍の合同運動となる
• 北越·東海·東山·四國の官軍
• 在常陸の北전親房と, 九州の征西將軍宮と東○との連絡
• 親房同國關城に入る
• 結城親朝·宇治惟時等, 前後して尊氏の誘惑に陷る
• 薩の谷山征西府となる
• 親房關城に在りて, 親朝に全忠は, 至孝の全一を說く
• 我國獨特の忠孝一本說
• 興國四年八月親朝逐に叛す
• 肥後阿蘇·菊池の軍は益振ひしが關·大寶の二城は陷り, 親房逃れて吉野に歸る
• 西南の官軍と楠黨との連絡運動
• 和泉に楠黨起る
• 谷山征西府, 兵を肥後八代に發す
• 熊野幷に中國の海賊衆, 八代に廻航して, 賊の航路を絶つ
• 四國·中國·熊野の海兵, 大に至りて, 賊と薩摩に戰ふ
• 東西連絡運動
• 小楠氏, 俄然賊黨隅田を襲擊し, 更に河內池尻に賊を攻め八尾城を襲擊す
• 朝廷義兵合同の運動を天下に公示す
• 藤井寺合戰, 小楠氏最初の成功
• 短兵夜襲
• 朝廷九州の官軍を奬勵して, その連絡を促す
• 幕兵の南下, 小楠氏賊を瓜生野に擊ち, 山名時氏を傷け, 弟兼義を부す
• 顯氏天王寺の本營を捨てて北走す
• 楠軍の追擊
• 小楠氏の慈愛
• 小楠氏の굴起と征西將軍宮入援の機
• 第十八章 小楠氏が美はしき忠孝の最後(東西三將軍の宮と小楠氏 - 四條철の劇戰) = 319
• 高師直自ら起ちて, 楠軍に向ふ
• 楠黨京に夜襲して, 敵者を殺害す
• 小楠氏の攻擊的態度
• 東西合同の積極主義
• 九州の小貳賴尙佯り降る
• 征西將軍薩摩より北上し, 肥後宇土に入り, 北征を議す
• 東國の興良·宗良兩親王, 小楠氏に合せんとす
• 兩親王曾て駿河國狩野に會す
• 吉野·九州の合同着手, 小楠氏その主動たり
• 吉野朝廷の大期待
• 小楠氏決戰的態度の理由
• 師直は東條正面攻擊に, 師泰は側面に向ふ
• 親房は興良親王を奉じて和泉に據り, 隆資は別軍を率ゐて和·河の間にあり, 楠黨は東條に集中して, 官軍の中樞となる
• 四條철の戰鬪. 師直の本營は野崎に在り. 師泰は和泉堺より, 石川川原の側面を撞かんとす
• 賊は戰略的包圍を東條に試む
• 小楠氏突進隊を以て, 中河內の저澤多き操兵不便の地に立てる師直を掩擊せんとす
• 正儀東條を守る
• 親房は師泰を牽制し, 隆資は師直を東方山地に牽制す
• 小楠氏突進隊の先鋒に立ちて, 一直線に北進す
• 四條村附近の大接戰
• 小楠氏進んで野崎に師直に迫る
• 師直身を以て, 北の方四條村に遁る
• 野崎の原頭に小楠氏弟正時と忠孝最後の美名を千歲に留めぬ
• 小楠氏の戰死地と예骨地とに就いて
• 四條村大字北條小字北及條と, 牧岡大字四條
• 往生院
• 京都嵯峨天龍寺藏の小楠氏に關せる吳溪の記事
• 小楠氏の遺子敎正, 池田氏を稱す, 池田信輝はその後なりと
• 第十九章 楠軍の中心, 楠木正儀 第一(その南戰と北和) = 341
• 四條철戰後官軍の態度
• 楠木正儀の動靜
• 師泰東條を攻む
• 楠黨山地戰の勇名
• 師直軍の徑過
• 幕府東條を懼る
• 大和の義兵, 賊將を走らす
• 近畿王師·鎭西義軍の合同策
• 東條軍の卒先的一成功
• 直冬南侵す
• 東西の官軍頓挫す
• 楠黨また起ち勢を復す
• 幕府の內訌, 直義出家す
• 直冬九州に逃る
• 九州の賊紛擾す
• 鎭西義軍振ふ
• 直義佯降
• 親房, 直義の歸順を東條に取扱ひ, 正儀斡旋せしが如し
• 正儀は一大策士
• 京に於ける官賊軍の轉變
• 尊氏兄弟和す
• 高一族滅ぶ
• 南北合同の議
• 官賊中とも過激黨あり
• 南北合同の議脈脈たり
• 正儀使を尊氏に遣はす
• 正儀は武裝的平和主義者にして, 南戰·北和の人
• 和議遂に成らず
• 楠黨活躍を始む
• 尊氏兄弟혁き, 江州に戰ひ, 正儀南戰す
• 鎭西の賊情紛糾す
• 直義東國に走る
• 尊氏降を請ふ
• 南北一旦の合同
• 第二十章 楠軍の中心, 楠木正儀 第二(その北伐と南守) = 368
• 行宮討幕の秘計
• 直義暴死す
• 行宮の勢力と義詮
• 後村上天皇東條·八幡に御す
• 京都回復戰
• 正儀奮鬪賴春を斬る
• 官軍第一次提携入京
• 征西將軍宮·征夷將軍宮
• 新田義興の活躍
• 宗良親王小手差原に戰ふ
• 八幡に於ける正儀の軍容
• 楠軍, 土岐康貞を斃す
• 後村上天皇
• 天皇匹馬戎衣, 神器を馬前に揭げて, 賀名生に落ちさせ給ふ
• 王師の維持者楠木正儀
• 正儀威を攝·河に振ふ
• 直冬等歸順す
• 東條城下, 曾て北兵來を叫はず
• 第二次提携人京
• 楠軍錦旗を擁して進み, 佐佐木·土岐等を敗る
• 義詮美潰に走る
• 楠軍京を出で, 赤松を防ぐ
• 第三次提携入京
• 楠軍八幡を守り, 芥河に苦戰す
• 直冬沒落
• 第四次提携入京
• 正儀北伐の瀆武を看破す
• 正儀の守備的功業
• 전山の南侵と正儀の防禦
• 楠黨一旦東條を去り, 後復河·泉·紀を回復す
• 正儀竟に北伐の將にあらず, 南守の士たり
• 第卄一章 楠軍の中心, 楠木正儀 第三(その北嚮と南歸) = 395
• 平和の謀士, 同情に富む楠木正儀
• 和議の理想に害せられし正儀
• 後村上天皇崩御, 滿廷主戰論に傾く
• 和議說破壞
• 禁廷中, 主戰·구和兩派の軋轢
• 廷臣不謹愼の結果, 一種の異現象を呈す
• 勇健武を好み給ひし皇兄, 溫和重厚の皇弟
• 主戰派, 南北平和說を破り, 東西提携の活動に出づ
• 正儀, 幕府の미兵策を看取し, 同盟の態度を以て北嚮す
• 九州宮方の勢力强盛
• 幕府, 九州探題派遣の事を發○し, 探題今川了俊漸く門司に到る, その間三年なり
• 管領賴之の窮策と正儀の操縱
• 賴之, 正儀を援助す
• 幕黨中, 楠·細二氏を疑ふ
• 征西宮將軍大宰府を却き給ふ
• 四條隆俊戰死す
• 楠·細二氏の苟合的合同政策稍稍成るの期近づく
• 賴之の合同政策破れ, 瓢然京洛を去る. 正儀北在する能はず南歸す
• 正儀が北在して得し所は, 唯不忠·不孝の汚名のみ, 但し南歸後, 遂に參議に昇任せしは無意にあらず
• 第卄二章 諸楠とその遺○(楠木右馬允·能勝彈師·楠木正虎系の數原·山脇兩氏の楠系) = 420
• 正儀以後の諸楠系正勝·正秀·正元の事蹟混同, 楠木綜合系圖一覽表
• 楠木右馬頭幷に應永亂に大內氏を助けたる楠某
• 曹洞禪の傳統能勝は, 楠氏にして越後國耕雲寺の開祖なりと
• 能勝は正秀にして, 應永の楠某は正勝か
• 正記錄に, 楠木正直·楠木持正入道·楠木光正等あり
• 永享に楠木兄弟の義兵を擧げしものあり, 嘉吉には楠木次郞なるもの武將として, 北闕を犯し, 神璽を奪ひ, 文安には楠木雅樂助, 義兵を擧げ, 寬正には楠木某刑せらる
• 文明の頃, 南主紀·和に起ち, 謀を河內楠木に通ず. 宗全これを西の陣に迎ふ
• 柏原·高松·類從本楠系圖中に, 各各正虎たる人あり
• 高松楠系圖の正虎を正しとなす
• 松永久秀と楠正虎
• 正虎, 河內守を受領し, 從四位下に敍せられ, 四代の後, 正長, 高松藩源英公に聘せらる
• 數原氏は大楠氏曾祖父成氏より出で, 其の裔, 宗和醫を以て名あり, 水戶賴房幷に將軍家光に召さる
• 官醫山脇氏は楠系の一流
• 山脇正節, 子玄心, 帝室侍醫となり, 玄修家を繼ぎ, 山脇東洋は玄修の義子なり
• 第二編 遺響編
• 第卄三章 吉野時代に於ける大楠氏の遺響(智謀の輪廓·忠貞の入眼) = 440
• 「太平記」の同情的楠記事は, 忠臣義士の餘芳を傳へて, 時代相應の理解を得しめたり
• 當時の思潮を窺ふ唯一の材料
• 「太平記」は當時楠氏觀のバロメ－タ－なり
• 優秀なる智者·絶倫の勇者, 忠貞の權化, 正朝の擁護者
• 笠置行宮の奉答に先づ武略と智謀とを提示す
• 賢才武略の贊語
• 大楠氏忠貞の入眼記事
• 崇高なる犧牲的精神と健全なる服從心
• 七生滅賊の彩粉記事
• 志士仁人の七生報國念の根源
• 知仁勇三德の落款
• 赤坂·千劒破城の奇謀妙策記事は, 智謀揄揚の一餘波
• 第卄四章 室町時代に於ける大楠氏の遺響(智謀の過褒·忠貞の矛盾·兵法の創倡) = 449
• 大楠氏久しく勅勘の汚名を蒙る
• 永祿二年勅勘恩免
• 理非顚倒, 楠家の惡罵, 義士の誹謗
• 「太平記」の愛讀
• 「太平記評判」「兵庫記」「雜記」「太平記評·傳」世に出づ
• 大楠氏遺響の反應
• 智謀の過褒, 忠貞の矛盾
• 楠兵法の創倡
• 大楠氏の智謀推奬
• 大楠氏軍神の信仰
• 大楠氏忠貞不變の奇傳
• 叡智の淺薄を怨じて, 打死せりとなすは, 大楠氏の忠貞を傷く
• 大楠氏の智謀に假託しての兵法
• 奇正の兵
• 奇中の正兵
• 正中の奇兵
• 軍の病
• 奇の變
• 我膽を天上に曝す
• 兵者詭道也故能面示之不能云云の俗解
• 生得·血氣·仁義の勇
• 十死一生の戰
• 後世刊行の楠正成一卷は, 「雜記」の燒直なり
• 「雜記」の全文
• 六韜·孫子·尉료子が諸戰術の應用法
• 軍士敎養法
• 陣中軍令
• 戰時用水論
• 楠兵法は義經に基く
• 第卄五章 德川初代に於ける大楠氏の遺響 その一(楠古傳の漢譯と時文新譯) = 491
• 漢文學復興と楠事蹟
• 慶長の頃, 道春始めて漢文「正成傳」を作る
• 太平記を漢譯して大楠氏を謳ふ
• 寬文の頃, 安東省庵漢文「楠公父子傳」を作る
• 省庵が「太平記古評·傳」よりも飜譯せるは, 楠史漢譯の一進步なり
• 「楠氏二先生全書」「楠河州傳」「本朝通鑑」等の飜譯區域は, 省庵のそれに同じ
• この時代の大楠氏遺響は吉野·室町兩時代の楠氏觀の漢譯上に現はる
• 大楠氏生ひ立の雄偉. その殉國の動機に關する怪說. 新楠兩家の敵視記事. 准后廉子と大楠氏反目記事は皆「古評·傳」の飜譯なり
• 大楠氏の忠硬, 尊氏の畿內南海兩道を以て招きたるを拒みたりとは古傳の糟粕なり
• 淨瑠璃界に於ても, 古傳を時文に新譯す
• 土佐少椽の「楠湊川合戰」
• 第卄六章 德川初代に於ける大楠氏の遺響 その二(楠兵法の濫唱·妄說) = 516
• 楠兵法創說とその傳唱
• 昔の楠正成, 今の竹中重治
• 秀吉が大楠氏の武略を難じたる理由
• 慶元以來, 大楠氏に假託せる兵法
• 楠兵法の組織者陽翁
• 楠兵法家百薺, 島原城攻落法を大楠氏に托して, 火藥破壞と火牛法とを說く
• 慶安の由井正雪, 楠兵法を唱ふ
• 正雪初め楠兵法を越前浪士某より, 後江戶に楠不傳より受く
• 彼の敗死は楠兵法の流行に影響なし
• 「恩地左近太郞聞書」
• 「楠公櫻井書」等の兵書出づ
• 兩書とも智謀を以て大將必須の要件とし, 士の言行一致如何を觀るを主務となす
• 「櫻井書」は八惡を擧げ, 「恩地聞書」は七不義を揭げ, 兩書とも, 奸と姦と, 仁義·血氣·生得の諸勇を別ち, 十死一生の戰を說く所, 殆んど同一意に出づ
• 兩書, 名異れど實は同一本ならん
• 兩書の依據は, 一に「古評·傳」に在り
• 楠兵法假託の材は室町時代に資れり
• 濫唱妄說の弊
• 山鹿素行と「楠正成一卷書」刊行
• 現今兵家の本書評
• 「楠家傳七卷書」「南木武經」刊行せちる
• 兩書名異れど內容同一
• 楠兵書の歡迎せられし狀
• 「楠兵記」「楠恩義典鑑」「楠軍書」等も前兩書と內容同一なり
• 如上諸書の孫吳七書を引援せる點
• 義と欲とのこと, 四武の備のこと
• 勝つ事を知る五道
• 十死一生
• 노구兵書「楠公軍檀目鏡」
• 楠目筆の兵法書
• 非理法權天
• 遺訓壁書
• 大楠氏遺響の一反應
• 第卄七章 德川中葉に於ける大楠氏の遺響 その一(楠事蹟の探究と, その表彰) = 548
• 靑山幸利侯の大楠氏예骨地標彰
• 貝原益軒の湊川碑碣の計劃
• 德川光國侯の建碑
• 舜水碑陰文の由來
• 舜水加賀侯の需に應して, 楠公畵贊を作る
• 光國侯は加賀侯畵贊文稿を碑陰に鐫刻す
• 省庵の楠公傳は, 碑陰文の先종たり. 舜水は楠公傳の句に負ふ所あり
• 儒流間, 大楠氏畵贊文の流行
• 大楠氏と孫武·漢家三傑·諸葛武侯と對比
• 省庵の大楠氏表彰に於ける貢獻
• 石田一鼎の大楠氏崇拜と「葉隱集」
• 「葉隱集」中, 大楠主義の流露
• 淺見絅齋の大楠氏に對する熱烈なる同情
• 絅齋の楠公父子訣別の歌
• 謠曲觀世流番外「正成」
• その他「湊川」·「正行」·「櫻井」
• 絅齋, 大楠氏の出處に關し, 熊澤蕃山の名分に暗きを難ず
• 三宅觀瀾は大楠氏表彰文を草して, 光國の知を得, 彰考館に勤王列傳を管す
• 大日本史, 大楠氏を孫吳に比し, 張巡に比し, 儒流間に大楠氏の定論を作る
• 「楠二忠傳」·「三楠實錄」等の野乘「楠十早合戰」·「金剛山合戰」·近松の「吉野都女楠」等の淨瑠璃本出で, 通俗的楠氏感興を引きて, その表彰の一助を作す
• 「吉野都女楠」中の坊門淸忠の奸邪と大楠氏の誠忠
• 第卄八章 德川中葉に於ける大楠氏の遺響 その二(理想國士の本尊と, 小說戱作の主人公) = 578
• 望楠軒の大楠主義
• 望楠軒は正德元年, 若林强齋の創設に係る
• 望楠軒主義は, 大楠氏を國士の理想となす
• 望楠軒主義と宋學忠孝論幷に垂加神學說との融和
• 皇權主義の國士と, 王政復古の動機
• 望楠軒主義の抗幕的意義
• 小野鶴山·西依成齋等望楠軒を管す
• 望楠軒主義は若狹國小濱及び江戶にも傳はる
• 寶曆の竹內式部の一件は, 望楠軒主義○發動なり
• 式部は强齋晩年の門下なり, 志を東武反撥·皇權回復に潛む
• 烏丸光胤卿の激賞
• 式部の新說, 桃園天皇の叡聞に達す
• 「假りにも君を怨み奉るの心發らば, 天照太神の御名を唱ふべし」との大楠氏の言は, 望楠軒創立の大主趣にして, また式部の公卿衆に與へし誡書の眞髓なり
• 式部の誡書と肥前探隱敎訓とは, 異工同調なり
• 式部は軍書·武藝をも敎授す
• 餘風寬政の有爲公卿に傳はる. 岩倉具選卿の高山正之を延き, 伏原宣條卿の唐崎士愛を近づけしは卽ちこれなり
• 正之·士愛, 志相合し, 同じく憂憤自盡す
• 上杉鷹山侯·龜田鵬齋·二宮尊德と楠公
• 山陽の日本外史
• 賴春水は崎門學に出入し, 西依望楠軒主に親炙し, 探人畵, 舜永贊に擬して楠父子訣別の圖を作る. また久しく高山氏に交はる
• 尾藤二洲も望楠軒學統に屬す
• 山陽は春水·二洲の學を承けて, 大楠氏崇拜の素地を作る
• 外史大楠氏崇拜論の三要旨
• 賴山陽始めて絶對理想の國士大楠氏を天下に顯彰す
• 國粹的理想の國士論出づ
• 小說戱曲界の楠氏主人公は, 最も奇拔なり
• 馬琴は楠石一致の滑稽論を案出し, 釋大我は楠石を不忠不義と暴論す
• 硏究家としての馬琴は, 正雪の楠僞託物を看破す
• 馬琴の大作「俠客傳」は, 楠一黨を謳ひし勸善小說なり
• 楠淨瑠璃本は聲曲場裏に楠趣味を吹き입む
• 「楠正成軍法實錄」·「楠昔신」·「大塔宮曦鎧」·「車還合戰櫻」·「太平記菊水の卷」·「鳴呼忠臣楠氏기」
• 楠稗史は楠비負の戱作なり
• 「南朝太平記」·「繪本楠公記」
• 國民上下の風氣近接
• 第卄九章 幕末に於ける大楠氏の遺響(尊攘討幕の護符·王政復古の神明) = 613
• 尊攘論者の理想的對象と大楠氏
• 尊攘家西國派中の長州系
• 吉田松陰の理想と信仰
• 七生說
• 義の生命は千古不滅なり
• 孝明天皇を後醍호天皇に比し奉り, 自ら大楠氏に擬す
• 三餘讀書·七生滅賊てふ護符
• 松陰竟に國事に斃る
• 門下七生滅賊の義に趨る
• 山田方谷の大楠氏七生轉身說
• 眞木泉州の大楠氏馮祭とその欽仰
• 泉州幽囚十年, 권として大楠氏を祭る
• 「何傷錄」中の楠子論
• 新らしき櫻井宿の遺誡
• 泉州, 大阪藩邸禁錮中, 幷に馬關客舍急迫の際, 大楠氏を祭る
• 攘夷親征, 七卿西走と泉州
• 泉州, 三條公を山口の湯田に護衛す
• 三條公·東久世卿等, 大楠氏を山口高田館に祭る
• 泉州·王事に天王山に殉ず
• 三條公, 大楠氏を大宰府に祭る
• 德川幕府倒れて三條公等廟堂に立つ
• 泉州·條公等が大楠氏神明の憑恃
• 獨人シ－ボルトの大楠氏神明の記事. 副島種臣·江藤新平·大木喬任の楠公崇拜. 橫井小楠の楠公由緖の毛筆
• 第三十章 明治前半に於ける大楠氏の遺響(國神の首座·風敎の本地) = 633
• 大楠氏の遺靈は, 國家最高の崇遇に値す
• 島津久光侯, 始めて大楠氏奉祠の議を上る
• 德川慶勝侯も, 國神として建社せん事を奏請す
• 大楠氏崇拜家加藤司書
• 東久世卿, 大楠氏神社造營の建白をなす
• 明治元年四月, 湊川碑に臣子龜鑑の高札建ち, 神社造營被仰出
• 明治二年堺縣知事小河敏管下楠氏舊蹟の顯彰を獻白す
• 明治三年五月, 三條公·東久世卿等, 大楠氏を東京に祭り心事を遺靈に告げて, 聖明に奉答せんを期す
• 同五年神社造營の功竣る. 社號を湊川神社と賜ひ, 別格官弊社に列せらる
• 同年車駕西巡の際, 필を本社に駐めさする御治定あり
• 明治八年大久保利通卿, 始めて赤坂·四條철の表彰を唱へて曰く, 王政復古の盛事は, 大楠氏遺志の繼承なりと
• 湊川社に國神の一首座鎭まり, 河陽の地に風敎の一源泉湛ふ
• 米人グリフイス「御門大帝國」を著はし, 中に自ら大楠氏の偉業を欽仰しその遺響を歎稱す
• 英國公使パ－クス氏の楠氏崇拜と櫻井建標
• 櫻井驛の建碑と乃木將軍
• 福澤諭吉, 大楠氏を罵りて, 痛く社會の非難を受く
• 文部省の明治六年の國定敎料書に, 大小楠氏の美談を推奬す
• 同十三年贈正一位の特典あり
• 大楠氏に由緖ある遺物の微すら, 皆諸名家に崇敬せらる
• 內外の人士, 天下の學生, 楠社に詣でて, その遺德を仰ぎ, 海陸の貌휴は, 武運長久を祈る
• 海軍軍神廣瀨中佐の志尙と陸軍軍神橘中佐の熱烈
• 第三十一章 明治後半以後に於ける大楠氏の遺響(人生の最後を硏究する對象物と, 靖國社頭國難排除の靈楠樹.) = 654
• 松陰の七生滅賊·方谷の化身靖國說は, 望楠精神の主觀的槪念なり
• その客觀的實化の要
• 人生の最後を硏究する對象物
• 楠氏誠意の十分一だもあらまぼし
• 國難排除の靈楠樹